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中埜幹夫 展

2004年10月23日(土)~11月20日(土)

中埜は近年、時事問題や事件、あるいはその時々の世相を象徴するようなモティーフを用い、作品を発表してまいりました。 既存の事実をあえて作品化することにより、それまで外の世界であったものを私たちの日常の次元まで引き寄せ、 見るものにあらたに問題定義をしかけているようにも思えます。
作品に映し出された重いテーマとは裏腹に、表現方法は軽やかに、明るい 色彩のアクリル絵の具で表されています。 そのギャップゆえに、中埜の作品は私たち見るもの に、今まで自分を取り巻く世界で起こっていた不条理を、 ないこことして済ませていた後ろめた さを呼び起こします。
以下、今回の展覧会に向けた作家本人の言葉です。一見無愛想で無責任にも感じられる言葉ですが、 いったい何が出てくるのか期待させるには充分ではないでしょうか。

テーマというものは、毎回別に決めていない。
学校の課題ではないので、そんなものを決めて描きたくないと感じている。 ましてや30過ぎの男が何かを 決めてもたかが知れているという感じである。 何かテーマを決めて描くということはどこかで答えがあるという強制的な感じがしてならないからだ。
何かを生み出すという行為は日常(生活と社会との接点)の行動の結果、にじみ出したものに過ぎないと思う。 答えより行動した結果が画面に現れている方が面白い。(中埜幹夫)

soreha

「それは不可能か」1005×1005
acrylic on canvas

jekyll&hyde

「Jekyll and Hyde」1622×1304
acrylic on canvas